万年筆を選ぶ際に、書き心地やデザインなど比較して万年筆を選ぶようしていますが、なんだかんだと日本の「パイロット」を選んでしまうことが多いです。
やはり日本製の安心感と品質の安定度、そして低価格でも金ペンが多いという圧倒的なコスパ、そしてデザインの多様性で比較するとパイロットに行きついてしまいます。
そんなパイロットは海外でも人気が高いのですが、一部の万年筆は海外では別の名前で販売されていて、むしろ、海外向け名称の方がカッコいいというのをご存じでしょうか?
今回は、パイロットの万年筆の中でも海外向けネーミングを設定されている商品を一覧でご紹介し、その由来も解説していきたいと思います!
パイロット万年筆の『海外向け名称』一覧&由来解説
バニシングポイント(Vanishing Point)日本名:キャップレス
パイロットの代表的なモデルとして海外人気も高い「キャップレス」。
その人気の理由はもちろん、世界で唯一のオリジナルな機構であるノック式ペン先です。
発売から50年以上を経過しているにも関わらず、他社で追随しようとするメーカーがほぼ無いことからも技術的な難しさと特殊性がお分かりいただけると思います。
そんなキャップレスは海外では、
「バニシングポイント(Vanishing Point)」
という名称で販売されています。
バニシングポイントとは日本語で「消失点」という意味ですが、消失点とは絵画などでパースを取るときのパースが交差する一点のことを言い、それ以上の遠景は物理的に見えなくなることから「消失点」と言われます。
キャップレス万年筆のニブ(ペン先)がノックによって隠れて見えなくなる様子を、消失(Vanishing)と言い換え、絵画用語である「バニシングポイント(Vanishing Point)」と表現する当たり、非常に高いセンスを感じます。
ナミキファルコン(Namiki Falcon)日本名:エラボー
パイロットエラボーは、日本語特有の「とめ、はね、はらい」を表現するため、毛筆をイメージした柔らかくしなやかな金ペン先を備えた高級万年筆です。
エラボーは海外でも人気があり、その人気の理由は主にペン先の柔らかさを生かした「カリグラフィー」向けとして人気なようです。
そんなエラボーは、海外では
『ナミキファルコン(Namiki Falcon)』
という名前で販売されています。
そもそも、エラボーは「この万年筆を”選ぼう!”」と精巧を意味する「Elaborate」を組み合わせた造語で、ダジャレ的要素を含んだ日本でしか通用しそうにない名前でした。
それでは海外では通用しないということで改名され、下向きに垂れた特徴的なペン先の形がハヤブサのくちばしに似ているということで「ファルコン」という名称になりました。
また、ナミキというのはパイロットの創業者名にして前身企業である「並木製作所」に由来します。
メトロポリタン(Metropolitan)日本名:コクーン
パイロットの定番エントリーモデルである「コクーン」も海外で人気があります。
海外では日本よりも金属軸の万年筆が好まれる傾向が多く、ラミー2000やウォーターマンのメトロポリタンエッセンシャルなどが人気です。
コクーンもそんな人気の金属軸市場に乗り込む一本としてリリースされ、初心者向けの万年筆として今や外せない存在となっています。
そんなコクーンは、海外では
「メトロポリタン(Metropolitan)」
という名称で展開しています。
メトロポリタンとは、大都市を意味する「メトロポリス」の派生語で、大都市民を意味する単語です。
余計な装飾を排除したシンプルな見た目が「都会的」ということで、大都市のホワイトカラーをイメージして「メトロポリタン」という名前になっています。
噂によると、日本でも当初「メトロポリタン」という名前で販売したいという意向があったようですが、上でご紹介したウォーターマン「メトロポリタンエッセンシャル」との商標カブりで断念したとか。
ちなみに、アメリカでも商標の問題は発生しており、「MR(ミューレックス)」という名前を頭につけて、『MR(ミューレックス)のメトロポリタンコレクション』という取り扱いにしているようです。
ちなみに、「MR(ミューレックス)」は、パイロットが1977年に発売した高級万年筆の名前で、軸からニブ(ペン先)まで全てオールステンレスでできた野心的なモデルでした。
その未来的な印象がコクーンとも通じるものがあり、商標として復活させたのだと思います。
スターゲイザー(stargazer)日本名:ステラ90s
パイロットの万年筆の中でも特に短い小型万年筆「ステラ90s」。
コンパクトで可愛らしいシルエットと、黄銅に特殊塗装を施し、光を捉えると派手過ぎない程度に上品に光るラメペン軸が特徴のショートサイズの万年筆です。
残念ながら、2018年に生産終了が発表され、現在の在庫が出払ったら正規品の流通は終了となってしまいます。
大ぶりな万年筆の人気が高い海外での人気はそこそこといったところですが、その小ぶりで高級感があるデザインと、メモ書きにピッタリなスナップ式のキャップ、そして比較的安い割に金ペンであることなどから女性人気が高い一本になっています。
ちなみに、「ステラ」はラテン語由来の言葉で星や惑星を意味し、「スターゲイザー」は天文学者や占星術師を意味する英語です。
いつまでも見ていたくなる輝くペン軸という意味合いと、英語圏での通用しやすさからあえて「スターゲイザー」を採用しているものと思われます。
いかがでしたでしょうか?
パイロット万年筆の海外名のセンスの良さに驚かれた方も多いのではないでしょうか。日本でも海外名で展開すればいいのになんて思ってしまいますよね。
海外での人気も感じながら万年筆を選ぶことで、ペン選びの楽しさがさらに増すと思います。