台湾の万年筆メーカー・ブランドが躍進した理由

台湾メーカーの万年筆が躍進した理由

今、万年筆業界では一つの大きな勢力が盛り上がっています。

それが、台湾メーカーの万年筆です。

今回は台湾メーカーが万年筆業界で一躍名をあげるに至った経緯を考察していきたいと思います。

台湾が万年筆業界で躍進した理由

台湾の主要な工業と言えば、何を思い浮かべるでしょうか?

シャープを買収した鴻海や、ネットブックで一世を風靡したASUSやエイサーなどの精密機械産業を思い浮かべる方も多いでしょう。

確かに、それらの企業は世界的な知名度を誇る一大産業を形成しています。

さて、これらの躍進した台湾企業に共通点があることがお分かりでしょうか?

そう、鴻海もASUSもどの企業も、海外からのOEM(受託製造)で企業規模を拡大した企業なのです。

台湾に技術の高いOEM企業が多い歴史的理由

では、何故、台湾はOEM企業が多いのでしょうか?

単純なOEMであれば、中国や他のアジア諸国でもよいのでは?と思う方も多いでしょう。

その理由を紐解くと、台湾の主要産業として工業機械製造が大きなボリュームを占めているという点が挙げられ、日本との関係も大きく影響しています。

台湾の工業技術を支える日本との関係

戦後、製造業を中心に日本の企業が復興ののろしを上げ、持ち前の開発力で世界的に評価を高めていきました。

そして、急激にモノが売れていく中、製造原価の低減と生産量の増大のため、海外に製造拠点を設ける必要が出てきたのです。

しかし、当時はいわゆる冷戦の真っただ中。お隣韓国は朝鮮戦争で不安定ですし、中国とは国交がありません。他のアジア諸国もまだまだ発展途上国で教育レベルも高くなく、多くの地域で米ソの代理戦争的な内戦が続くなど、アジアは多くの火種を抱えていました。

そんな中、日本統治時代から親日が根強く、中国との独立闘争がある以外は比較的治安が安定していた台湾に白羽の矢が立ったのです。

そして、日本企業を中心とした西側諸国の製造拠点として台湾に様々なOEM拠点が築かれることになりました。

金属加工技術と樹脂加工技術の奇跡の両立から生まれた万年筆

日本、アメリカ、欧州諸国などの西側諸国から移転された様々な技術が台湾の中で培われ、その技術力が後の鴻海やASUSを生み出したと言えます。

そして、その技術によって生み出されたのは精密機械産業だけではありません。

精密金属加工や樹脂加工技術もOEMによって磨かれていきました。

精密金属加工技術はニブの製造には欠かせない技術ですし、樹脂の加工技術はペン軸を製造するためには絶対に必要な技術です。

その二つを高次元で併せ持つことができたことで、他国では実現できない細かな加工を施した万年筆が誕生し、台湾ブランドの躍進を支えたのです。

台湾の万年筆のどこがすごいのか?

OEMで高い製造技術を磨いたとはいえ、なぜ今台湾の万年筆がすごいのでしょうか?
その理由を考えてみましょう。

歴史が無い分、既成観念に縛られていない

世界の万年筆企業の多くは100年近い歴史を持つ企業が多い一方、台湾の万年筆は2010年代から起業した会社がほとんどです。

歴史が長いということは、そのブランド力とほぼイコールになるため市場価値が高くなりやすい一方で、ブランドイメージや「この会社ならこのデザイン、この機能」というような既成観念に会社側も顧客側も縛られることになります。

一方、台湾メーカーは歴史が浅く「こうでなくてはいけない」という色がついておらず、ある意味では非常に自由に商品企画をすることができます。

そのため、台湾メーカーの万年筆は旧来の万年筆が持つステレオタイプなイメージを根底から覆すようなデザインと機能性を持っているものが多く、その斬新さが台湾らしさとなり世界中で「斬新」という評価を受けているのだと思います。

確かな加工技術による斬新なシステム

先述した通り、台湾の加工技術は長年のOEMで磨かれており大変高いです。

その結果、他のメーカーだと超高級万年筆にしか導入できないようなインク吸入システムや複雑な加工を安価なモデルでも施すことができます。

例えば、ツイスビーのGOに実装されているインク吸入システムは、通常高級万年筆に実装される本体吸入式であるだけでなく、本体にばねを仕込み、ピストンを急激に上下させることで大量のインクを一気に吸い込むという「スプリング式インク吸入システム」を採用しています。

このような複雑かつ斬新なシステムを5000円以下の万年筆に搭載してしまうあたりが、非常に挑戦的かつ高い技術力を感じさせます。

中華を感じさせる「シノワズリ」デザイン

もう一つの要素は、どことなく中華感を感じさせる「シノワズリ」デザインです。

従来の万年筆というものは、歴史的に古代ローマ以来の羽ペンがベースになっており、羽ペンの弱点を補うべく万年筆の誕生したのはアメリカで、機能性や書き味の向上はイギリスやドイツが追求し、樹脂を使った工芸的価値をイタリアが高め、高品質化や低価格化を日本が担うという流れで世界に普及していきました。

その流れの中で、デザイン上はやはり西欧、北米的なデザインが万年筆の共通文法になってきた経緯があります。

しかし、台湾万年筆のデザインはそれらとは全く異なり、どこか中華的な要素を色濃く映したデザインになっています。

金属パーツに施された模様や樹脂パーツの色遣いなどは今までの西洋中心の万年筆の文法には無かったものです。

その斬新さは文房具ファンにとっては非常に斬新に映りました。

台湾万年筆は今後世界を席巻するか

このように、業界の新星でありながら、40年以上にわたり積み上げた技術を併せ持つという驚異的なルーキーとして台湾万年筆は注目されています。

今後の台湾万年筆の躍進は間違いなく、世界的にペンメーカーの業績が低迷する中、一気に台湾万年筆が世界を席巻する可能性もあるでしょう。

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