
「LED照明はもともと省エネなんだから、昔の製品でも今の製品でも、そこまで大きな違いはないだろう」
と、思っていたことが私にもありました。
私が自宅で使っていたのは、2012年ごろのシャープ製LEDシーリングライト「DL-C308V」。同じ型番を広めでL字に曲がったリビングに3台取り付け、10年以上、特に消費電力を気にすることなく使い続けていました。
買い替えを考えたきっかけは、電気代ではなく故障です。1台の白色側だけが点灯しなくなり、そこから毎年一台ずつ故障していきました。そこで初めて本体の型番を確認したんですね。
調べてみると、DL-C308Vの消費電力は59W。一方、現在の製品には、もっと明るいのに30W台で使えるものがあるんです。
正直、ここまで違うとは思っていませんでした。LEDからLEDへの買い替えなので、節電効果はせいぜい少しだろうと考えていたからです。ところが実際には、この10年ほどでLEDシーリングライトの省エネ性能は驚くほど進化していました。
この記事では、わが家で実際に交換した3製品とDL-C308Vを比べ、シーリングライトの電気代がどれくらい変わるのかを計算してみます。古いLEDシーリングライトを使っている方は、買い替えるかどうかはさておき、まず型番だけでも確認してみてください。意外な数字が出てくるかもしれません。
白色だけ点灯しなくなったDL-C308V

故障したDL-C308Vは、暖色系のLEDは点灯するのに、白色側だけが点灯しない状態でした。壁スイッチを切って入れ直しても改善しません。
症状だけで原因を特定することはできませんが、白色側のLED基板や電源回路、制御回路などに不具合が起きた可能性はあります。シャープの取扱説明書を見ると、LEDは基盤と一体化しており、利用者自身では交換できないとのことでした。
すでに10年以上使っています。故障箇所だけを直すより、器具全体の経年劣化や買い替え後の電気代まで考えると、今回は交換したほうがよさそうだと判断しました。
同じLEDでもこんなに違う。この10年の進化に驚いた
シャープの公式仕様表によると、DL-C308Vは8畳までに対応し、器具光束は3,900lm、消費電力は59Wです。仕様表の作成日は2012年となっています。
私もそうでしたが、59Wという数字だけを見てもいまひとつピンと来ないですよね。
ところが、今回交換したパナソニックの8畳用「HH-CK0823CA」と並べると、違いがよく分かります。こちらは全灯時32Wで4,299lm。DL-C308Vより約10%明るいのに、消費電力は27Wも少なくなっています。
1Wあたりの明るさを単純計算すると、DL-C308Vは約66.1lm/W、HH-CK0823CAは約134.3lm/W。およそ2倍です。
DL-C308Vも、登場した当時はこれでも省エネなLED照明でした。それが10年余りたつと、同じ電力から得られる明るさがここまで伸びている。スマートフォンやパソコンほど目立つ進化ではありませんが、照明のような身近な家電も、見えないところでしっかり進歩していたのです。
もちろん、10年前のLED照明がすべて照明効率が低いという話ではありません。機種や明るさ、調色機能によって数字は変わります。ただ、「LEDだからどうせ大差ない」と思い込むのも、少しもったいない。こっそりと技術が進化しているので、自宅の器具が実際に何Wなのか、型番から確かめてみる価値はありそうです。
交換した3製品とDL-C308Vを比較
交換前の3台はいずれもDL-C308Vです。
せっかくなので、交換後は設置位置や必要な機能に合わせて、別々のメーカーで次の3製品を選びました。
| メーカー・製品名 | 適用畳数 | 全光束/器具光束 | 通常の全灯時消費電力 | DL-C308Vとの差 |
|---|---|---|---|---|
| シャープ DL-C308V | ~8畳 | 3,900lm | 59W | 基準 |
| BIT-CL121C | ~12畳 | 5,200lm | 34.5W | -24.5W(約42%減) |
| パナソニック HH-CK0823CA | ~8畳 | 4,299lm | 32W | -27W(約46%減) |
| 東芝 NLEH10BK1B-LC | ~10畳 | 4,899lm | 39.2W | -19.8W(約34%減) |
1日12時間なら3台で年間約9,700円の節約
今回は、長時間点灯する部屋を想定して、次の式で年間電気代を計算しました。
年間電気代=消費電力(W)÷1,000×12時間×365日×31円/kWh
| 交換内容 | 交換前の年間電気代 | 交換後の年間電気代 | 年間節約額 |
| DL-C308V → BIT-CL121C | 約8,011円 | 約4,684円 | 約3,327円 |
| DL-C308V → HH-CK0823CA | 約8,011円 | 約4,345円 | 約3,666円 |
| DL-C308V → NLEH10BK1B-LC | 約8,011円 | 約5,323円 | 約2,688円 |
| 3台合計 | 約24,033円 | 約14,352円 | 約9,681円 |
3台で年間約9,700円。計算してみると、思っていた以上の金額になりました。
ちょっとした贅沢が出来るくらいの金額ですよね。
しかも、これは買ったときに一度だけ得をする値引きではありません。同じ使い方をする限り、翌年以降も電気代が下がります。つまり、毎年1万円コスト回収できるという計算になります。
ただし、これは3台を毎日12時間、全灯で使う条件です。実際の点灯時間、調光の程度、待機電力、電力会社の料金プランによって結果は変わります。1日6時間なら節約額もおおむね半分、18時間使えばおおむね1.5倍になります。
明るすぎる照明は調光すれば、さらに下がる可能性も
BIT-CL121Cは12畳用で5,200lmあり、交換前のDL-C308V(3,900lm)より約33%明るい製品です。実際、私は調光機能で数段階明るさを落として使っています。
単純に光束と消費電力が比例すると仮定し、3,900lm相当の75%まで下げると、34.5W×75%=約25.9Wです。この仮定なら、DL-C308Vとの差は約33.1W、年間節約額は約4,500円になります。
ただし、これはあくまで単純比例による参考計算です。LEDの調光時消費電力は、電源や制御方式によって変わり、明るさと正確に比例するとは限りません。メーカーが調光段階ごとの消費電力を公開していない以上、「実際に約25.9Wになる」とは断定できません。正確に知りたい場合は、対応する電力計で実測する必要があります。
古い照明を全部交換すれば得、とは限らない
とはいえ、今回の結果だけを見て「家中の古い照明を、いますぐ全部交換しよう!」と考えるのはちょっと早いです。
例えば、私の自宅には、40形の約120cmの直管蛍光灯を4本使う天井照明もあります。これをLED化すれば消費電力はぐっと下がるはずですが、その部屋で照明を使うのは1日30分以下しかないんですよね。
仮に交換による消費電力差が100Wあったとしても、1日30分なら年間節約額は約566円です。安い1万円程度の器具を選んでも、単純な回収には17年以上かかります。故障や安全上の問題がないなら、省エネだけを目的に急いで交換する必要性は低いといえるんですよね。
買い替え効果を左右するのは、古さだけではありません。
- 新旧の消費電力差
- 1日の点灯時間
- 新しい器具の購入価格
- 故障や劣化の有無
- 部屋に必要な明るさ
- 今後何年使う予定か
まずはリビングや仕事部屋など、毎日長く点灯する場所から確認するのが現実的です。
自宅の照明の型番と電気代を調べる方法
照明の型番調べは、それほど難しくありません。
- 壁スイッチを切り、器具が冷めるまで待つ
- 本体外側のラベルを確認し、見当たらなければ説明書に従ってカバー内部を確認する
- 型番をメーカー公式サイトで検索する
- 定格消費電力と全光束(器具光束)を確認する
- 現在販売中の、同程度の明るさの製品と比較する
- 消費電力から年間電気代を計算する
- 本体価格÷年間節約額で、おおよその回収年数を出す
なんなら、型番さえ分かれば、4~7はAIに聞いちゃえば早いですね。
交換候補は「同じ畳数」だけでなく、「同じくらいの全光束」でも比べるのがポイントです。畳数が大きくても効率のよい製品なら、今回のBIT-CL121Cのように、明るさを増やしながら消費電力を減らせることがあります。
とにかく、安全第一で、作業が不安な時は自分で作業せず電気屋さんに相談してくださいね。
まとめ|まずは一番長く点灯している照明から確認しよう
LED照明は長寿命です。ただし、「LEDなら10年前の製品も今の製品も、省エネ性能はだいたい同じ」というわけではありません。
今回のDL-C308Vは、白色側の故障がなければ、私は消費電力を調べないまま使い続けていたと思います。ところが型番を調べてみると、この10年の技術進化は想像以上でした。より明るい製品が、半分近い消費電力で使えるようになっていたのです。
もちろん、だからといって古いLEDを一斉に交換する必要はありません。10年以上使用している、毎日長時間点灯する、新旧の消費電力差が大きい、故障や劣化が出ている——こうした条件が重なる照明ほど、買い替えの効果は大きくなります。
まずは、自宅で一番長く点灯しているシーリングライトの型番を見てみてください。買い替えるかどうかは、消費電力と使用時間を確認してから決めれば十分です。

















